最近、アレルギー体質は腸で作られるといわれるほど、腸内細菌とアレルギーの関係は密接なつながりがあります。
アレルギー体質ではない腸内細菌の構成は、善玉菌と悪玉菌のバランスが10対1の割合と言われています。
しかし、その善玉菌と悪玉菌の割合がくずれてしまうと、アレルギーが起こりやすいという報告が発表されました。
ということは、アレルギー体質を克服するためには、この腸内細菌の割合をコントロールしなくてはなりません。
ここで最新のアレルギー理論について、簡単に説明します。
腸内細菌は、人では約100種類、100兆個も存在すると言われています。(細菌を全て集めると、なんと1kgにもなるそうです)
この腸内細菌が腸の粘膜を刺激することにより、腸管免疫システムは休むことなく正常に動くことができます。
この腸管免疫システムをつかさどる細胞をヘルパーT細胞といい、体の中に異物が入らないように見張り役をしています。
このヘルパーT細胞には、Th1型およびTh2型の2種類があり、Th1型およびTh2型の量のバランスがとれているときは、腸管免疫は正常に働き、アレルギー体質を起こすことはありません。
しかし、善玉菌と悪玉菌のバランスに異常が起こると、腸管免疫システムが崩れて、見張り役(ヘルパーT細胞)がアレルゲンに対して異常な活動を活発に起こし、かゆみなどを伴った炎症を引き起こします。
これがいわゆるアレルギー反応です。(図1参照)

第1章 アレルギーで来院する犬たち 2008.12.25
ステロイド薬の副作用には段階があります。(表B参照)
| 初期 | 飲む水の量と食事の量が増える 体がほてる。毛が抜け落ちる お腹がふくれて肝臓が肥大する? |
| 中期 | 皮膚が薄くなり乾燥し、ハリがなくなる。 皮膚炎を起こしやすくなる。筋力が衰える。だるくなる。 糖尿病を発症する。ステロイド性肝炎になる。 |
| 末期 | お腹が太鼓腹になる。ムーンフェイスになる。 クッシング症が発症し、死に至る場合もある。 |
最初に飲み水が増え、食事の量が増えます。このレベルの副作用では命に危険があるわけではありません。
もっとステロイド薬を使い続けると肝臓に負担がかかり始め、肝機能が低下してステロイド性肝炎という症状を起こします。肝臓は炭水化物や糖の貯蔵庫という大事な役目を担っていますが、その肝臓が働かなくなるので、犬は食欲がなくなり、元気がなくなります。糖尿病にもなりやすくなります。
この段階でも、ステロイド薬の量を減らしたりして、肝臓を休ませながら機能回復を待てば大丈夫。治療できる範囲内です。
さらに進むと、クッシング病という病気にかかります。
これはもともと体内にあるホルモンを人工的に与え続けるために、体内のホルモンバランスが崩れたことで起こる病気です。毛や皮膚が薄くなったり、お腹が太鼓腹になったりする症状が表れます。
この段階に入ると有効な治療法はほとんどありません。日々死に一歩一歩近づいていくだけです。
私は「ステロイド薬は悪い!だから絶対に使ってはいけない!」といているわけではありません。夜も眠れないような激しいかゆみには、ステロイド薬は最も効果的ですばらしい治療法だと思います。
肝心なのは、このステロイドという副作用を持った薬に頼り過ぎないことだと思います。一時しのぎの治療ばかり続けて、本当は治る可能性があった体なのに、その可能性をつぶしてしまうのは、もったいないような気がします。
今からでも遅くはありません。一緒にアレルギーを克服していきましょう。
「ステロイドに頼らないアレルギー治療」、それがシャンプー療法と食事療法なのです。
第1章 アレルギーで来院する犬たち 2008.12.18
あなたの愛犬がしきりとかゆがって、大変な思いをしているとします。
どうやらアレルギーの症状みたい。
動物病院に連れて行くと、きっとほとんどの動物病院では「すぐにかゆみが治まりますよ」といって1本の注射を打ってくれるでしょう。
数時間もたつと犬は平気な顔になるので、飼い主さんはホッとします。
でも、何日かたつとまた同じ症状が出るはずです。そのたびに病院で”かゆみ止め”の注射を打ってもらいに行き、一時的にかゆみはおさまるものの、また同じコトの繰り返し・・・。
そのうち薬の効き目が悪くなるので、少しずつかゆみ止めの量は増えていきます。
このかゆみ止めの正体は、「ステロイド薬」です。
ステロイドはもともと動物の体内にある副腎性皮質ホルモンと同じ働きをする薬で、かゆみを止めたり炎症を抑える働きがあります。
いま、犬のアレルギーに対して動物病院で行う、一般的な治療は、このステロイド薬でかゆみを止める治療です。
飼い主さんに理解してほしいのは、ステロイド薬はかゆみを抑えるだけであって、
決して「治すための薬ではない」ということです。
私はステロイド薬の長期使用には賛成できません。それは、
「かゆみを止めるだけの対症療法なので、結局は治らずに悪化していくだけだからです。」
そして、「ステロイド薬は生死にかかわる副作用を持っているお薬だからです。」
第1章 アレルギーで来院する犬たち 2008.12.11
アレルギーとは、本来は体を守るための免疫の仕組みが、無害なものに過剰に反応して症状が出る病気です。
アレルギーを引き起こす原因物質をアレルゲンといい、固体固体によって異なります。
また、そのアレルゲンの種類もホコリやダニ、花粉、菌類、食べ物などさまざまな項目が考えられます。
食べ物が原因の食事アレルギー、花粉やタバコ、ホコリなどを吸い込むことで起こる吸引性アレルギー、アレルゲンに触れることで起こる接触性アレルギーなど、タイプはさまざま。
ですが、犬の場合、症状は全て皮膚のかゆみとして表れます。
なぜ、犬のアレルギーが急に増えてきたのでしょうか。
今の獣医学界では犬のアレルギーについて系統だた研究がなされていません。
だからアレルギーが増えた原因についても色々な説があり、はっきりした原因はまだ確定していないのが実情です。
でもアレルギーになりやすい犬種というのが統計的に分かっています、柴犬、シーズー、テリア系、ダックス、レトリバーなどがそうです。
また、皮膚のトラブルが多い理由として、日本では外国が原産の犬種が多く飼われているのも一つの原因といわれています。例えばシーズーはもともとチベット原産の犬です。チベットといえば、超乾燥地帯。その乾燥した気候に適した体をシーズーは持っています。つまり湿気の多い日本の気候になじみにくく、皮膚トラブルの要因となります。
表A.アレルギーになりやすい犬種 ワースト10
| 1 | ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア |
| 2 | 柴 |
| 3 | シー・ズー |
| 4 | ワイアー・フォックス・テリア |
| 5 | ダルメシアン |
| 6 | ゴールデン・レトリバー |
| 7 | フレンチ・ブルドッグ |
| 8 | シェットランド・シープドッグ |
| 9 | キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル |
| 10 | パグ |
そして、第二に、室内で飼われる犬が増えたこと。
飼い主さんがにおいや抜け毛を気にする為に、こまめにシャンプーをするようになりました。昔は年に3、4回だったシャンプーも近頃では週に1回必ずされる方が多くなってきています。<シャンプー>の章で詳しくお話しますが、よかれと思って続けたシャンプーが皮膚に合わないシャンプーだったために、かえって皮膚のトラブルを招いているケースも多いようです。
第1章 アレルギーで来院する犬たち 2008.12.03
人間の世界で花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状が問題になっています。
犬の世界でもアレルギーは大問題です。日本で飼われている約1500万頭のうち、
おおよそ3頭に1頭がアレルギーを持っているといわれています。
人間でもそうですが、犬のアレルギーも治療が難しい病気の一つです。
本編で詳しく述べますが、今の獣医学界ではステロイド薬投与による対症療法が主流で、これではどんなに治療してもアレルギーは治りません。
私のクリニックへは、どの病院でも症状が改善せずに、いくつもの病院を渡り歩いた末に来院する飼い主さんが沢山います。なかには獣医師不信に陥っている方もいます。
そんな飼い主さんこそ、ぜひ読んでください。
あきらめないで。アレルギーは治ります。
確かにアレルギーは治すのが難しい病気ですが、食事やシャンプーという日常のちょっとしたことの見直しをしていただければ、あなたの愛犬が本来持っている皮膚の自然治癒力により、アレルギーが克服できる日がきっときます。
私がシャンプーに関心を持ったのは、動物病院でのトリミングがきっかけでした。
湿疹やかゆみといったトラブルが、不思議とトリミング後に起こることが多いのに気付いたのです。
湿疹やかゆみとう症状の原因はもしかしてシャンプーにあるのかも?
そう考えて、ペット用シャンプーの調査を始めたのが最初です。人の皮膚メカニズムから勉強し、犬の皮膚についても独自に研究をしました。シャンプーの大切さやその効果についても知りました。
シャンプーと肌の関係についての研究に、獣医師としての知識や経験を動員してたどり着いたのが、シャンプーと食事療法による、ステロイドを使わないアレルギー治療です。
この治療法は、生活の見直しによる体質改善治療に近いので、少し時間はかかります。
でもきっと、最後には「がんばっててよかった」と微笑むことができるはずです。
あなたの愛犬も、ひょっとするとシャンプーを変えるだけで治るかもしれません。
未分類 2008.10.31